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マイコプラズマ感染症


 

 

肺炎の1020%程度はマイコプラズマが原因によって起こるといわれています。よくある病原体です。514歳の年齢に多いといわれていますが、成人にも乳幼児にもマイコプラズマは感染します。家族の誰かがマイコプラズマに感染すると家族中にうつってしまいますが、免疫の反応で起こる肺炎で、2歳未満にはあまり肺炎は起こさないといわれています。マイコプラズマは、Mycoplasmapneumoniae という名前の病原体で、通常の細菌とウイルスの中間の大きさと性質を持っています。ウイルスと異なり、人工の無細胞培地で増殖できる最小の病原微生物です。普通の細菌と異なり、細胞壁を持たず、 3層の限界膜をもっており、ペニシリン系やセフェム系などの抗生剤が無効で、マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生剤やニューキロノン系の抗菌剤が有効です。

 

【潜伏期】

潜伏期は23週間程度といわれています。潜伏期とは体の中にマイコプラズマが侵入してから症状が出てくるまでの期間のことです。マイコプラズマ感染症の人と接触してもすぐに症状が出てくるのではなく、23週間の間をおいて症状が出てくるのです。

 

【症状】

発熱で発症し、12日遅れて咳が出てきて、だんだん強まっていく、というのが典型的な経過です。初期には上気道炎(いわゆるかぜ”)と診断されることが多く、かぜ症状で終わりますが、5%ぐらいに肺炎を起こすといわれています。咳ははじめ空咳ですが、だんだん痰がからんできます。頭痛、全身倦怠感、咽頭痛を伴うこともあります。

 

【検査】

マイコプラズマ感染の抗原検査がありますが、検体採取の状態で不確かなことが多く、症状が出始めてからの期間が短いときは、マイコプラズマ感染なのに検査が陰性に出てしまうこともあります。肺炎があるかどうかは胸部XPで確かめます。胸部XPの陰影で(非定型肺炎)、マイコプラズマ肺炎かどうかの予測はつきますが、中にはウイルス感染でも同じような像を呈することがあります。白血球数は正常ややや減少のことが多いですが、中には軽度の上昇を示すこともあります。C反応性蛋白(炎症反応)は軽度上昇を示すことが多いですが、陰性のこともあります。

 

【合併症】

喘息の既往のある子供は喘息発作が生じたり悪化したりしますから注意が必要です。高熱のためにけいれんが誘発されることもあります(熱性けいれん)。発疹が出現することもありますし、中耳炎が合併することもあります。その他にも稀ですが様々な合併症が起こる可能性があります。

 

【治療】

最初はマクロライド系で効かない場合はニューキロノン系の抗菌剤、12歳以上ではテトラサイクリン系の抗生剤を使うこともあります。ある程度元気なら、多少胸部XP上の陰影があっても(肺炎でも)血液検査でCRPの上昇があってもマイコプラズマ感染症であるならば、たいていの場合は外来で治療することが可能なようです。

 

 


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