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川崎病


 

 

 1967年に当時東京渋谷区の日赤中央病院(現在の日赤医療センター)小児科の川崎富作先生がこの病気を発表しました。今日、川崎病(KAWASAKI DISEASE)として世界共通の病名で呼ばれ、全世界の乳幼児を襲っており、いまだその原因は不明です。  

 

【 症状 】

 最初は発熱、せき、鼻水など、かぜのような症状から始まりますが、高熱が続き、両目が赤く充血し(目やには出ない)、唇が真っ赤になり、舌がイチゴ状に赤くなり、喉の粘膜も赤く腫れ、手足や体に大小さまざまな形の発疹が出、首のリンパが腫れて痛がり、手足が硬く腫れ、手のひらや足の裏が全体に赤くなります。熱が下がる頃、指先の皮がむける等の症状が特徴的です。

 ただし、こうした症状が出そろわない、いわゆる不全型の川崎病もあります。高熱のある間は非常に不機嫌で重い病気の感じがありますが、発病から2〜3週間を過ぎますと症状も軽くなり、血液検査成績も正常となり、元に戻ります。

 

診断基準


1)原因不明の39〜40度の高熱が5日以上続く。
2)数日して、水疱を持たない赤い発疹が全身に出る。
3)発疹が出る前後から、手のひらや足の裏が赤くむくんでかたくなる。
4)発疹が出る前後に、くちびるが荒れて出血し、舌もいちごのように赤くブツブツが出る。
5)熱が出てから数日後、白目が充血して真っ赤になる。
6)発熱と同時、もしくは熱が出る少し前に首のリンパ節がはれてくる。

 これら6つの症状のうち、5つがあてはまると、川崎病と診断され、入院、検査が必要になります。1才前後の赤ちゃんが原因不明の高熱を出し、くちびるや目が赤くなったときには、川崎病を疑う必要があります。必ず小児科の診断を受けてください。

 


 川崎病にかかる子どもは1歳前後をピークに4歳以下の乳幼児が多く(全体の80%以上)、男子がやや多いです。再発することが2〜3%あります。

 川崎病は全身の血管に炎症を起こす病気と考えられており、もっとも問題となるのは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠状動脈という血管に後遺症が残るかどうかという点で、全患者の約10%前後の子どもが冠状動脈障害を残してしまい、冠状動脈が拡張したり、瘤(コブ)ができてしまいます。(図参照)しかし、いったん拡張したり、瘤ができた冠状動脈も、自然に小さくなり、正常な大きさになる場合がほとんどです。非常に少ないケースではありますが、瘤の中で血液の固まり(血栓)ができてしまい血流を塞いだり、瘤の出入り口が狭くなり、冠状動脈が詰まってしまい、いわゆる心筋梗塞発作を起こし死亡するケースもあります。そのため、冠動脈に障害が残った場合は血液が固まらないように薬を 飲み続けなければなりません。しかし、薬を飲み続けていても、残念ながら狭くなったり、詰まってしまう場合もあります。こうした例に対してはカテールという管を入れ、風船を膨らませて押しひろげたり、血管の内側の肥厚している膜を削る治療も試みられており、また、外科的治療としてバイパス手術を施行する場合もあります。
 



 

 


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