発熱は子供の場合、ほとんどが急性の感染症によるもので
すが、ほかの原因では稀ですが川崎病や悪性腫瘍(白血病etc.)や炎症性疾患(リウマチ熱・若年性関節リウマチ・膠原病etc.)などがあります。感染症で熱が続いていてなかなか下がらないような場合には、インフルエンザやアデノウイルスなどのような熱がなかなか下がらないウイルスが原因である場合、薬がききにくい細菌が原因である場合、マイコプラズマなどの通常の抗生物質が効きにくい病原体が原因である場合などが考えられます。
@ 病原体 (細菌、ウイルス、マイコプラズマなど)
が熱の原因なのか
?
それ以外の可能性(川崎病、悪性腫瘍、膠原病など)はないか?
A どんな病原体が原因なのか?(細菌なのか?ウイルスなのか?具体的にはどんな病原体?)
→ ウイルスが原因であるならば各自の免疫の力でやがて熱は下がります
。
→ 薬に対する抵抗性の強い細菌が原因の場合にはなかなか熱が下がりません。
B 病原体はどこにいるのか? 肺?腎臓や膀胱?耳?のど?・・・・・
C 体に具合が悪くなっているところはないのか? (肝臓は?腎臓は?筋肉は?心臓は?・・・・・)
D 病気は重いのか?比較的軽いのか? などを調べるために下のような検査を行います。
1) 一般検血 ( とくに白血球数と白血球分画 )
2) CRP (
C反応性蛋白 )
3) 各種ウイルス抗原迅速検査 (インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス、ロタウイルスなど)
どんな病原体が原因であるかがわかります。
→経過が予想できます。(あとどれぐらいで熱が下がるか?・・・・・)
→インフルエンザには効果のある抗ウイルス剤が処方できます。
4) 肝酵素(AST、ALT、ALP、LDHなど)と筋酵素(CPK)
病原体によっては肝臓や筋肉に障害を及ぼすことがあります。
ある種のウイルス感染のときには熱が続いているときに体の中が悪循環に陥り肝酵素の値が上昇することがあります(全身性炎症反応症候群)。
5) 腎機能(BUNとCr)
病気によっては腎臓に障害が及ぶことがあります。
→この場合はBUNとCrが上昇します。
脱水の程度が強いとBUNが上昇します。
6) 電解質(ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウムなど)
病気の種類によっては電解質の値が高くなったり、低くなったりします。
→電解質の値が高すぎたり低すぎたりするとけいれんが起こったり、不整脈が起こったりします。
7) 各種細菌培養検査 (
咽頭培養、尿培養、血液培養など )
いろいろな場所に細菌がいるか入院時に調べておきます。(結果がでるまで数日かかかります。
→どこにどんな種類の細菌がいるのか?どんな薬が効くのか?がわかります。
→なかなか症状が改善しない場合にはこの結果が参考になります。
8)尿検査
腎臓に障害がある場合には尿に血液や蛋白が混じることがあります。
ケトン体という物質が認められる場合は自家中毒(ケトン血性嘔吐症)といわれる状態です。→ブドウ糖を
含む輸液をすると元気が回復します。
9) 胸部レントゲン検査
肺炎があると熱が下がりにくい場合があります。せきなどが強く肺炎が疑われる場合には胸部レントゲンをと
って診断します。
ただし、一般に小児の肺炎を過大に恐れる傾向にあると思います。老人においては肺炎が原因で死亡することもあります。しかし、小児においては肺炎が原因で死亡することはほとんどありません。肺炎をそれほど恐れる必要はないと思います。軽い肺炎なら薬を内服するだけでもなおり、入院する必要がありません。
10) 腹部レントゲン検査
おなかが痛いとか吐いているとか腹部の疾患が疑われるときには腹部レントゲンを撮ることがあります。ただし、胸部に比べ腹部には放射線の影響を受けやすい臓器がいくつかあります。そのために腹部レントゲンは胸部レントゲンに比べ撮られる機会が少ないといえます。腹痛、嘔気・嘔吐などの症状の多くはウイルス性胃腸炎などですので腹部レントゲンは撮らずにしばらく様子をみることが多いです。
腸重積や虫垂炎、便秘などは超音波検査をします。
11) 髄液検査
熱が続く場合には髄膜炎のことがあります。背中に注射針を刺して髄液を採取し髄膜炎であるか どうかの確認をします。
この検査は入院できる病院にお願いして実施します。
13) CT検査、MRI検査
体のいろいろなところに熱の原因が潜んでいることがあります。
CT検査やMRI検査を行うことによってこれらの原因を探ることがあります。
この検査は検査できる病院にお願いして実施します。